TRENDIA CLASSIC

大江満雄に

槇村浩

1 / 1

こゝに機械の哲学者がある――― 彼は思考し、血潮の中に機械のどよめきをでなく、血潮と共に脈動する機械のリズムを感ずる 彼ははつらつたる工場の諧調を背負うて、齟齬しながら鈍重に歩いて行く

こゝに機械の哲学者がある――― 彼は技師を宣言し、一切に正面照明を送る 照明はゆかいに大大阪を漫歩する 機械にまで虚偽を造る資本の虚偽と、百万の労働の精神とを透過し 浮揚する二重性をもって、飢えた子供の胃のレントゲン絵にまで照入する

こゝに機械の哲学者がある――― たしかに彼は巧みな限りにおいて危う気なく進む だがわたしらをして提議せしめよ――― 現実を後にでなく 前に置こう! 前方をして常にかちうべき真実の生産であらしめよ!

槇村浩の他の作品