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TORENDIA

紫色の感情にて

本文約320字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

憂鬱な情熱を抱きながら、聖母のような貴女に一輪の菫の花を捧げ、恐ろしい絶望の底の神秘と虚無の苦悩を、紫の色の感情として詠む萩原朔太郎の詩。

萩原朔太郎

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🎧 紫色の感情にて / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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ああその燃えあがる熱を感じてゐる

この熱の皮膚を

しばしば貴女にささげる憂鬱の情熱を

ただ可愛ゆきひとつの菫の花を

貴女の白く柔らかな肌に押しあてたまへ

ここにはまた物言はぬ憂愁の浪

紫をもて染めぬいた夢の草原

ああ耐へがたい病熱の戀びとよ

戀びとよ

今日の日もはや暮れるとき

私は貴女の家を音づれその黒い扉の影に接吻しよう

しほしほと泣く心の奧深く

貴女はその惠をたれ

慈愛をもて久遠の道を聽かせ給ふか

貴女は尊き婦人 私の聖母

苦しき苦しき愛憐の祈りをきく人

この可愛ゆきひとつの菫の花を

ただ微かに貴女はほほ笑み

貴女は微かにかぐ 恐ろしい絶望の底の神祕を

人間の虚無の苦惱を 貴女は一人知る

貴女は一人知る

ああ この暗い紫の色の感情を

紫の色の、げに吐息深き私の病熱の戀びとよ。貴女は。

完

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