TRENDIA CLASSIC

長詩

槇村浩

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その時僕は牢獄の中に坐ってゐた 格子が 僕と看守の腰のピストルとの間をへだてゝゐた 看守は わざ/\低くつくりつけた窓からのぞきこむために 朝々うやうやしく僕にお辞儀し 僕は まだ脱獄してゐない証拠として ちびつけのブハーリンのような不精髯の間から 朝々はったと看守をにらみつけた これが僕らの挨拶だった 朝になると、窓が右からかげって来た 夜になると、窓が左からかげって来た そのたびにアスファルトのどす黒い影が ぐるりと鉄格子をまわって 二つの世界を僕の前にくっきりくりひろげた

僕はこう感じた 鉄格子の間には、××と卑屈と 道化芝居の動物園がある――― 誰が敢てそれを自由と呼ぶか! そこでは空気と太陽のかけらさえ 淫売婦のように購入を強ひられる 犬、猫かぶり、猿まね、下手くそなおーむども 何とゆうちっぽけでみじめな宇宙だ! そして僭越にも 誰が敢て僕らを檻の中と呼ぶか! このそとの、××と卑屈と、道化芝居の動物園の 僕らは果敢な園長ではないか――しかも僕らの中に死活の鍵を握った! おゝ、何とゆうこゝは自由な そしてほゝえましい世界だらう!

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