野兎の歌
本文約960字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
芸術と政治の間で揺れ動く野兎たちの葛藤と、過酷な状況下における組織の在り方を綴る。猟師に立ち向かい捕らえられた野兎たちが獄中で詩を歌い続ける一方で、解放後に芸術活動から脱退を表明するかつての同志たちの姿が描かれる。檻の中でも守り抜いた組織が解散へと追い込まれていく現実に直面し、芸術家としての矜持を保とうとする若い野兎が、再び信念を共にする者たちの数を数え始める様子を通じて、理想と妥協の狭間で変容する個人の決断と葛藤を映し出す。
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(ふん、芸術家ってものは、獄中ですらきれ/″\ながら守りたてゝいる組織を、あまり勝手に外で、解散しすぎるぢゃないか。そんな組織なら連袂脱盟して政治専一にしろよ。――と言った別れしなの獄内の同志の言葉を僕はなだめかねた。)
ある特殊の野兎たちは 集まり、手分けし 野兎たちを組織し できるだけ多くの同僚を野兎にしようとする 彼等は前足の陰のみづかきみたいなもので まじめに何かしきりに、書いては消し、消しては書きする 野兎は芸術をもっている!
野兎は火のもえた、炉ばたと野兎の畠を荒らす、黒い頬冠りをした猟師たちに宣戦した 野兎は猟師のように、山刀と鉄砲を持ち、猟師のように整然たる隊伍をもちたいと思った だが、野兎は束にしてひっくゝられ、猟師の四角や六角の穴倉にひったてられた 穴倉の野兎は 手錠をはめられたみづかきの先をびく/\ひきつらせながら彼等の詩を歌いつゞけた 残されたすみかの野兎は ちらばった部署の陰で、彼等のみづかきをあげて 陰から猟師にはいちゃいした
野兎のあるものは みづかきを不自由にされていることは、生活を不自由にされていることよりも辛いと思った 野兎はみづかきを持つことが、野兎の種の特徴としてあるまじきことを宣言し 家犬えの非合法な脱獄が 野兎からの合法的な脱獄だとしゃれこんだ
だが野兎は芸術を持っている! 月日がたち 殺されたゞけの真率な野兎は 傷づけられたみづかきをいたわりあいながら 昔の家え帰ってきた 野兎は小さいいろりの傍で、お休みになっている彼等の生活を見た 猟師の畠はやはり野兎の畠だった――― だが野兎のあるものはみづかきを隠し合い お互を見せずに、めい/\に探るような目ざしを投げ合った