TRENDIA CLASSIC

死ぬる迄土地を守るのだ

今村恒夫

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会場にはぎっしり聴衆がつめていた。

群集は二時間も前から押しよせた。

子供もいた女もいた老人もいた

青年達が警備した。

場外にはなお聴衆が溢れていた

「帰れ」顎紐が号令する――

だが顎紐糞喰えだ――

組合の弁士の演説をきかないで誰がおめおめ帰れるか

今日の演題を見ろ

僧侶やブルジョアの学校のような俺達に縁遠い事ではない――

俺達の生活についての話だ

――食えない俺達のそのままの声だ――

――立入禁止をはね飛ばせ――

――資本家が如何に俺達をしぼったか

……農民の生活について――

場外も場内もよくよく怒気が唸っていた。

何千年来搾られた精神の爆発だ。

青年も壮年も老年も……あどけない

子供の顔もひん曲っていた。

コブシはサザエのように握られていた。

いきづまるような瞬間――にじみ出る汗場外の大衆も耳をすませてきいていた――声だけでもきこえるのだ

押し殺したように黙って待っている

みんなは心で叫んでいた。

――早く俺達の苦しみを貧乏を搾取を

壇上で爆発させてくれ――

――地主の不正をあばいて呉れ――

弁士が立った――われるような拍手――どよめく会場――

だがたった一分間……言葉で十語にもみたぬ。

我々小作人が……そこで中止だ。――

一千の目が矢のように署長に敵視を送る。

怯む署長――が奴は直ぐ番犬性をとり返す。

つづいて立つ――そこでまた中止――

――お上は絶対中立だ――信じていた自作やプチブルの聴衆迄が中立なんてあるものかお上は奴等と一体だ。――

たつ奴も立つ奴も中止――中止――口に猿轡をかませるのだ

――俺達の歯はギシギシなった――こぶしはいたい迄かたまった。

署長の言葉が反抗と憎悪をたぎらせて行った。

最後の一人が立った。憤激に上気した同志の顔――火のような言葉――中止――検束

圧縮された聴衆の反抗が爆発した。

真赤な火をふく活火山のように

会場の内外に溢つる怒罵、ふんぬの声――

署長横暴だ――署長を殺せ――

弁士を渡すな――俺達貧乏人の闘士を……

会場の内外が鳴動した。

解散――解散――忠勤をぬきんでるのはここぞと許り署長が連呼した――聴衆の憤怒

解散解散――それは燃ゆる火熱に油をかけた――

署長を殺せ署長を殺せ――パイとポリ公をふみ殺せ――

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