TORENDIA
遺産分配書
富永太郎
TORENDIA
遺産分配書
本文約520字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
女王や友人、母といった様々な対象に向けて、自らの身体の一部や感情、記憶を贈りものとして遺す様子を綴る。詩的で幻想的なイメージを重ねながら、それぞれの宛先に対する複雑な思いと、死や倦怠、あるいは新たな再生の兆しを予感させる断片的な言葉を収める。執筆者自身の内面的な苦悩や、現実と夢が交錯する独特の美学が色濃く反映された作品である。
👁 1 ビュー
速度
🎧 遺産分配書 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星
💰 この本を応援する(投げ銭)
1 / 1
わが女王へ。決して穢れなかつた私の魂よりも、更に清浄な私の両眼の真珠を。おんみの不思議な夜宴の觴に投げ入れられようために。
善意ある港の朝の微風へ。昨夜の酒に濡れた柔かい私の髪を。――蝋燭を消せば、海の旗、陸の旗。人間は悩まないやうに造られてある。
わが友M***へ。君がしばしば快く客となつてくれた私の Sabbat の洞穴の記念に、一本の蜥蜴の脚を、すなはち蠢めく私の小指を。――君の安らかならんことを。
今日もまた、陽は倦怠の頂点を燃やす。
シエヘラザードへ。鳥肌よりもみじめな一夜分の私の歴史を。
S港の足蹇へ。私の両脚を。君の両腕を断つて、肩からこれを生やしたまへ。私の血は想像し得られる限り不純だから、もしそれが新月の夜ならば、君は壁を攀ぢて天に昇ることが出来る。
***嬢へ。私の悲しみを。
売笑婦T***へ。おまへがどれほど笑ひを愛する被造物であるかを確かめるために、両乳房の間に蠍のやうな接吻を。
巌頭に立つて黄銅のホルンを吹く者へ。私の夢を。――紫の雨、螢光する泥の大陸。――ギオロンは夜鳥の夢に花を咲かす。
母上へ。私の骸は、やつぱりあなたの豚小屋へ返す。幼年時を被ふかずかずの抱擁の、沁み入るやうな記憶と共に。
泡立つ春へ。pang ! pang !
完
富永太郎の他の作品
TORENDIA
夜の讃歌
富永太郎
夜の讃歌
富永太郎 ・ 約1分
TORENDIA
四行詩
富永太郎
四行詩
富永太郎 ・ 約1分
TORENDIA
四行詩
富永太郎
四行詩
富永太郎 ・ 約1分
TORENDIA
ランボオへ
富永太郎
ランボオへ
富永太郎 ・ 約1分
TORENDIA
COLLOQU
E MOQUE
UR
富永太郎
COLLOQUE MOQUEUR
富永太郎 ・ 約1分
TORENDIA
PANTOMI
ME
富永太郎
PANTOMIME
富永太郎 ・ 約1分
TORENDIA
AU RIMB
AUD
富永太郎
AU RIMBAUD
富永太郎 ・ 約1分
TORENDIA
秋の悲歎
富永太郎
秋の悲歎
富永太郎 ・ 約2分
TORENDIA
美しき敵
富永太郎
美しき敵
富永太郎 ・ 約4分
TORENDIA
横臥合掌
富永太郎
横臥合掌
富永太郎 ・ 約1分
TORENDIA
影絵
富永太郎
影絵
富永太郎 ・ 約1分
TORENDIA
画家の午後
富永太郎
画家の午後
富永太郎 ・ 約1分