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TORENDIA

従妹に

本文約4,900字 ・ 読了時間 約10分

あらすじ(AIが作成しました)

世間から堕落した我儘娘と見なされる書き手は、従妹のきみちゃんに宛てた手紙の中で、自身の生き方と周囲の理解との乖離を綴る。親の都合で無理に行われた結婚を自らの意志で破棄した経験を基に、他人の期待に従うのではなく、自分自身を愛し尊重して生きる姿勢を説く。虚偽の道徳や世間の慣習に縛られず、個人の意志を貫こうとする苦悩と信念を伝え、誤解を解こうと試みる。

伊藤野枝

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🎧 従妹に / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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今、私の頭の中で二つのものが縺れ合つて私をいろいろに迷はして居ります。

私は今まで斯うして幾度きみちやんに手紙を書きかけたか知れないのです。けれども私の書いたものが果して正当に何の誤もなくきみちやんに理解されるかどうかとそれを考へては、若しきみちやんに理解が出来なかつたときにはきみちやんの為めにもまた私の為にも大変不幸だと思はれますので止めました。けれども、どうしても書きたくてたまらないので。二つのものと云ふのは、その書きたいのと、書いて、もし悪い結果になるといけないと云ふ心配とを云つたのです。

きみちやんにはね、姉さんがどう見えますか? 恐らくきみちやんには、私をいゝ人かわるい人かと聞かれたら、一寸答へに困るでせう? もしかしたらきみちやんは、姉さんはいけない人だと思つてゐるかもしれませんね、それにしてもなほ、いろ/\な疑問が沢山に私についてあるだらうと思ひます。その疑問は決して私自身ばかりでなくきみちやんにとつてもきつと大事なものかもしれません。屹度私がこれから書くことを読んで行くうちには思ひあたることがあるだらうと思ひます。

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