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TORENDIA

消息

本文約570字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

東京での面倒事に忙殺され、原稿の執筆もままならない日々を送る著者が、静養先から知人へ宛てた手紙を収める。執筆が進まない焦燥感や、海や山を眺めても晴れない心境、読書への渇望、そして久保田氏の小説に対する率直な感想を綴る。多忙な日々の合間に抱く切実な心の内や、相手への気遣い、対面への期待が率直な文体で語られ、当時の文学者たちの交流の一端が浮かび上がる。

伊藤野枝

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🎧 消息 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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こちらへまゐりましてからまだしみじみおちついた気持になれないうちに東京からは後から/\いろ/\な面倒なことを言つて来たり何かして本当によはりきつて居ます 其為めにまだ何所へも手紙らしい手紙もかけずに原稿もかけず何にも手につきません。却つて遠くでいろ/\心配ばかりしてゐますので頭が変になつて仕舞ひます 原稿も是非かゝねば申訳がないと思ひながらそんなこんなで何にもかけません。九月号が出来ねばどうにもおちつくことが出来ないやうな気がいたします。海を見ても山を見てもなか/\呑気な気持になれません。毎日々々どうしていゝかわからないやうな日ばかりです 暫く第三帝国も拝見しませんが如何ですか。此度はこちらあてに送つて頂くことは出来ませんでせうか、さうして頂ければ大変に都合がいゝと思ひます 今月になつて雑誌を一つ二つのぞきましたきりで何にもよみません 何か面白いものがございますか 久保田氏の小説は大変いゝと思ひました。なか/\達者にかけて居ます。今迄何か投書でもしてゐらしたのですか、此度かへりましたら是非お眼にかゝりたいと思ひます。何卒おついでの節よろしく、また何かいゝものが有りましたら頂かして下さいますよう仰言つて下さいまし、こちらもまだなか/\あつうございます 東京もおあついでせうね。――

八月十八日―孤月様―野枝 [『第三帝国』第五〇号、一九一五年九月一日]

完

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