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TORENDIA

書簡 大杉栄宛

本文約1,900字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

大阪に滞在する著者が、離れて暮らす大杉栄へ宛てた書簡を綴る。叔父から社会主義を捨て学者になるよう強要される苦悩や、関係を断つべきか葛藤する複雑な心情を吐露する。一方で、離れているからこそ相手への深い敬慕や肉体的な結びつきを超えた精神的な繋がりの強さを再確認し、自身の内面を冷静に見つめる。相手の仕事への影響を気遣いながら、対等な関係を希求する切実な思いを率直に描き出す。

伊藤野枝

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🎧 書簡 大杉栄宛 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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宛先 東京市麹町区三番町六四 第一福四萬館 発信地 大阪市北区上福島

昨日はとうたうはがきを書く事も出来ませんで失礼して仕舞ひました。何卒あしからずおゆるし下さい。

停車場に和気(律次郎)さんが思ひがけなく見えてゐましたのにびつくりしました。あなたが電報を打つて下すつたのですつてね。午後から社に伺ふ約束をして直ぐこちらにまゐりました。叔父(代準介)は午後から旅行するのだと云つて、可なり混雑してゐる処でした。もう一と足で後れて仕舞ふ処でした。午後から社にゆきましたら、菊池氏は小説執筆中で休んでゐました。暫く和気さんとお話して心斎橋まで一緒に行きました。

叔父は三時にたつと云つてゐたのですけれども九時まで延ばしていろ/\お話をしました。何か云はうと思ひますけれども、何を云つても駄目なのでいやになつて仕舞ひました。叔父はアメリカに直ぐに行けと云ふのです。そして社会主義なんか止めて学者になれと云ふのです。とにかく二十日ばかり留守にするからそれ迄ゐろと云ひますから、ゐる事にはしましたが、叔母が何にも分らないくせに、のべつにぐず/\云ふのを黙つて聞いてゐるのがいやで仕方がありません。要するにあなたと関係をたてと云ふのですけれども、それをはつきり云はないのです。

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