TORENDIA
頼杏坪先生
中村憲吉
TORENDIA
頼杏坪先生
本文約4,700字 ・ 読了時間 約10分
あらすじ(AIが作成しました)
芸藩の儒官・頼杏坪の生涯と人物像を綴る。頼山陽の叔父にあたる杏坪は、名利を求めず二百五十石の郡宰として北備辺陬の貧しい山地で二十年を過ごす。謹直恪勤な資質で産業助長や徳育風教の振興に尽瘁し、民力の疲弊する難治の地を立て直した。また、詩人としても高寒の地勢や民情を鋭く観察し、実相を写生した独自の詩風を確立する。為政者としての真摯な施政と、対象の機微を掴む詩作の態度を対比し、その粛然たる地味な生涯の足跡を追慕する。
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🎧 頼杏坪先生 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ
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頼山陽の百年祭が明年に迫つたので、私の県ではその遺蹟顕彰会が組織され、全集の刊行、記念館の設立、旧居保存などそれぞれの準備が進められてゐる。さう云ふとき私は山陽先生を思ふと、妙にその家叔杏坪先生のことに心が惹かされてくる。杏坪先生は山陽終生の理解者であり、殊にその青年逆境の時代には最も温い庇護者であつた。