TRENDIA CLASSIC

現代の文脈

島村抱月

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日本の文章は今や急速の勢を以て變じつゝある。文に志すものは、此の動いてゐる事實を觀過してはならぬ。就中其の叙説法に於いて、在來の體は、漸く過去のものにならんとしてゐる。新代の人に取つては、もはや此等の文章が有してゐた背景は消え失せてしまつた。意味だけは無論通ずる、又口には成程熟してゐるだけによく滑る。しかし其の意味が率ゐ來たるところの情趣、風情といふものが薄くなつた。背景が無くなるとは此の謂である。勿論微妙なる趣味判斷の上のことであるから、舊い文味を喜ぶ人、新しい文意を喜ぶ人と、好尚の區々たるは免れない所であらうが、傾き行く方向は言ふまでもなく新しいものにある。

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