猫と庄造と二人のをんな
本文約68,700字 ・ 読了時間 約138分
あらすじ(AIが作成しました)
庄造は、新しい妻の福子と暮らしながら、かつての妻が大切にしていた猫のリリーに異常な執着を見せる。前の妻は福子へ手紙を送り、リリーを譲るよう懇願するが、福子は猫を飼い続ける。一方、品子は引き取ったリリーの世話に追われ、四苦八苦しながらも猫への献身を続ける。家庭内の複雑な人間模様と、猫を介して揺れ動く登場人物たちの心情、そして妻たちとの間で板挟みになり、居場所を失っていく男の姿を描く。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
💰 この本を応援する(投げ銭)
[#改ページ]
[#改ページ]
福子さんどうぞゆるして下さい此の手紙雪ちやんの名借りましたけどほんたうは雪ちやんではありません、さう云ふたら無論貴女は私が誰だかお分りになつたでせうね、いえ/\貴女は此の手紙の封切つて開けたしゆん間「扨はあの女か」ともうちやんと気がおつきになるでせう、そしてきつと腹立てゝ、まあ失礼な、………友達の名前無断で使つて、私に手紙よこすとは何と云ふ厚かましい人と、お思ひになるでせう、でも福子さん察して下さいな、もしも私が封筒の裏へ自分の本名書いたらきつとあの人が見つけて、中途で横取りしてしまふことよう分つてるのですもの、是非共あなたに読んで頂かう思ふたらかうするより外ないのですもの、けれど安心して下さいませ、私決して貴女に恨み云ふたり泣き言聞かしたりするつもりではないのです。そりや、本気で云ふたら此の手紙の十倍も二十倍もの長い手紙書いたかて足りない位に思ひますけど、今更そんなこと云ふても何にもなりわしませんものねえ。オホヽヽヽヽヽ、私も苦労しましたお蔭で大変強くなりましたのよ、さういつも/\泣いてばかりゐませんのよ、泣きたいことや口惜しいことたんと/\ありますけど、もう/\考へないことにして、できるだけ朗かに暮らす決心しましたの。ほんたうに、人間の運命云ふものいつ誰がどうなるか神様より外知る者はありませんのに、他人の幸福を羨んだり憎んだりするなんて馬鹿げてますわねえ。