TRENDIA CLASSIC

国語科学習指導要領試案(文法編)

時枝誠記

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まえがき

先生と生徒 生徒 先生、私たちは何のために文法を学ぶのですか。 先生 君たちが、正しく文章を読んだり、書いたりするためです。それには、ことばのきまり(法則、規則)をよく知つてゐなければいけません。文法はそのやうな法則を学ぶ学科です。 生徒 でも、私たちは、ことばの法則を知らなくても、話をすることも、読むことも出来るやうに思ひますが…… 先生 確かにさうです。君たちは、もう、ことばの法則を自然におぼえて、書くことも読むことも出来るやうになつてゐるのです。しかし、君たちは、まだ自分のことばが、どのやうな法則に従つてゐるかといふことを、反省したり、研究してみようと思つたことはないでせう。又どのやうに読むのが正しいか、どのやうに書くのが正しいかといふことを、はつきりと意識することが出来るやうにはなつてゐないでせう。つまり自覚して、ことばを使ふといふやうにはなつてゐないのです。 生徒 ことばのいろ/\な法則を知つて、ことばが使へるやうになれば、大変いいことだと思ひますが、どうして、ことばの法則を知るといふことが、そんなに大切なことなのですか。 先生 大変にいい質問ですね。自分たちの勉強することに、はつきりした意味を見出さうとすることは、いつでも大切なことです。ことばは、君たちがどのやうな学科を学ぶにも、又、世の中に出て、大事な用をはたすにも、なくてはならない大切なものです。人の書いたものが正しく理解されなかつたり、自分の書いたものが誤解されたりしたのでは、知識を得ることも、用事をはたすことも出来ません。ことばは、そのやうな大切な役目を持つてゐるものです。そこでこれを大切にするには、どうしたならばよいかといへば、正しく読み、正しく書かねばならないといふことになるのです。そのためには、辞書の助も借りなければなりませんが、ことばの法則を知るといふことは、それと同じやうに、大切なことなのです。 生徒 よく分りました。

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