TRENDIA CLASSIC
暗い時間に
片山敏彦
TRENDIA CLASSIC
暗い時間に
片山敏彦
🎧 聞ける化(音声で聴く)
朗読音声: VOICEVOX:青山龍星
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空には 燃える秋の星がある。 地には天に向つて立つけやきがある。 葉の階層――剛い幹。年輪の多いあらい幹。 彼は、昼と夜、空間のひろがりの中で 思想である。流出である。 心に 不安がある。獣と共通な欲望がある。死を慕ふ憂欝がある。夢の記憶の破片がある。 全の感激に立ち上つて、それに交り込み 限界の輪廓を打ち砕きたい動律と火流とがある。 どこへ行くのか? 今それを思はない。 僕は 秋の夜の、目がぐらぐらするほどな 星の無数の穴を見上げて立つ。 一つの胸が、自分にある。