春の枯葉
本文約23,500字 ・ 読了時間 約47分
あらすじ(AIが作成しました)
昭和二十一年の春、津軽半島の僻村にある国民学校で教師を務める野中弥一は、戦後の変容する社会情勢や教え子の言動に不安を抱きながら過ごしている。同居する教師の奥田義雄やその妹・菊代との生活の中で、野中や妻の節子、そして義雄の間に生じるすれ違いや葛藤が深まっていく。寒風が吹き荒れる春の夜、酒を飲み庭で倒れ込んだ野中の姿を巡り、それぞれの人間模様と苦悩が浮き彫りになる。
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人物。
野中弥一 国民学校教師、三十六歳。
節子 その妻、三十一歳。
しづ 節子の生母、五十四歳。
奥田義雄 国民学校教師、野中の宅に同居す、二十八歳。
菊代 義雄の妹、二十三歳。
その他 学童数名。
所。
津軽半島、海岸の僻村。
時。
昭和二十一年、四月。
[#改ページ]
第一場
舞台は、村の国民学校の一教室。放課後、午後四時頃。正面は教壇、その前方に生徒の机、椅子二、三十。下手のガラス戸から、斜陽がさし込んでいる。上手も、ガラス戸。それから、出入口。その外は廊下。廊下のガラス戸から海が見える。
全校生徒、百五十人くらいの学校の気持。
正面の黒板には、次のような文字が乱雑に、秩序無く書き散らされ、ぐいと消したところなどもあるが、だいたい読める。授業中に教師野中が書いて、そのままになっているという気持。
その文字とは、
「四等国。北海道、本州、四国、九州。四島国。春が来た。滅亡か独立か。光は東北から。東北の保守性。保守と封建。インフレーション。政治と経済。闇。国民相互の信頼。道徳。文化。デモクラシー。議会。選挙権。愛。師弟。ヨイコ。良心。学問。勉強と農耕。海の幸。」
等である。
幕あく。
舞台しばらく空虚。
突然、荒い足音がして、「叱るんじゃない。聞きたい事があるんだ。泣かなくてもいい。」などという声と共に、上手のドアをあけ、国民学校教師、野中弥一が、ひとりの泣きじゃくっている学童を引きずり、登場。