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TORENDIA

残されたる江戸

本文約41,800字 ・ 読了時間 約84分

あらすじ(AIが作成しました)

江戸の風俗や文化の断片を綴る本作は、江戸っ子の教育における実物教育の伝統や、植木と盆栽に人生の慰めを見出す自然児の生活を描く。また、祭礼に情熱を燃やす気質、時代とともに変化した芸者の風俗、そして三味線の継ぎ棹に象徴される社会的な規制など、庶民の暮らしに根付いた江戸ならではの趣味と営みを多角的に紹介する随筆である。

柴田流星

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目次

江戸ッ児の教育

顔役の裔

三ヶ日と七草

揚り凧

藪入と閻魔

節分と鷽替

初卯と初午

梅と桜

弥助と甘い物

渡し船

汐干狩

山吹の名所

節句

筍めし

藤と躑躅と牡丹

初松魚

釣りと網

初袷

五月場所

花菖蒲

稗蒔

苗売り

木やり唄

浅草趣味

八百善料理

風鈴と釣忍

井戸がえ

箱庭と灯籠

定斎と小使銭

青簾

夏祭り

心太と白玉

川開き

草市と盂蘭盆

灯籠流し

蒲焼と蜆汁

丑べに

朝顔と蓮

滝あみ

虫と河鹿

走り鮎

縁日と露店

新内と声色

十五夜と二十六夜

細見と辻占売り

おさらい

常磐津、清元、歌沢

お会式

菊と紅葉

酉の市

鍋焼饂飩と稲荷鮨

からッ風

納豆と朝湯

歳の市

大晦日

見附と御門

江戸芸者と踊子

人情本と浮世絵

見番と箱屋と継ぎ棹

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挿画・江戸川朝歌 (竹久夢二の別名) [#改ページ]

江戸ッ児の文明は大川一つ向岸に追いやられて、とうとう本所深川の片隅に押込められてしまった。然らばすなわち、今の東京に江戸趣味は殆んど全く滅ぼしつくされたろうか。いいえさ、まだ捜しさいすりゃァ随分見つけ出すことが出来まさァね。

さ、そこで、少し思う仔細があるのでそこはかとなく漁って見たら、こんなものが拾い出されたようなわけで、残されたる江戸だなんて、ごたいそうもないこと。実はそんじょそこらのお人の悪い御仁にツイそそのかされて、例のおッちょこちょいから、とんだ囈言までもかくの如しという始末、まァ長え眼でごろうじて下せいと、あなかしこあなかしこ

空に五月の鯉の翻る朝

著者 [#改丁]

残されたる江戸

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江戸ッ児の教育

十九世紀に遺された女と子供の研究が、二十世紀の今日この頃になって、婦人問題がどうの、児童問題がこうのと、むしょうに解決を急ぎ出し、実物教育なぞいうことが大分やかましくなってきた。西洋文明もこうなって見ると実は少々心細いて! 自慢じゃないが江戸ッ児にはその実物教育てのが三百年も前からちゃァんと決定されている、しかも俚謡になって――

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