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TORENDIA

飴だま

本文約970字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

春のあたたかい日、渡船に乗り合わせた母と二人の子、そして一人のさむらいの出来事を描く。飴玉を巡ってせがみ合う子どもたちの様子を見守っていたさむらいは、突然刀を抜き、母を怯えさせる。しかしさむらいは、手にした唯一の飴玉を刀で二つに割り、二人の子どもへ公平に分け与える。いねむりをしていた強面な男がとった予想外の行動を通じ、さむらいの意外な一面と旅のひと時を綴る。

新美南吉

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🎧 飴だま / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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春のあたたかい日のこと、わたし舟にふたりの小さな子どもをつれた女の旅人がのりました。

舟が出ようとすると、

「おオい、ちょっとまってくれ。」

と、どての向こうから手をふりながら、さむらいがひとり走ってきて、舟にとびこみました。

舟は出ました。

さむらいは舟のまん中にどっかりすわっていました。ぽかぽかあたたかいので、そのうちにいねむりをはじめました。

黒いひげをはやして、つよそうなさむらいが、こっくりこっくりするので、子どもたちはおかしくて、ふふふと笑いました。

お母さんは口に指をあてて、

「だまっておいで。」

といいました。さむらいがおこってはたいへんだからです。

子どもたちはだまりました。

しばらくするとひとりの子どもが、

「かあちゃん、飴だまちょうだい。」

と手をさしだしました。

すると、もうひとりの子どもも、

「かあちゃん、あたしにも。」

といいました。

お母さんはふところから、紙のふくろをとりだしました。ところが、飴だまはもう一つしかありませんでした。

「あたしにちょうだい。」

「あたしにちょうだい。」

ふたりの子どもは、りょうほうからせがみました。飴だまは一つしかないので、お母さんはこまってしまいました。

「いい子たちだから待っておいで、向こうへついたら買ってあげるからね。」

といってきかせても、子どもたちは、ちょうだいよオ、ちょうだいよオ、とだだをこねました。

いねむりをしていたはずのさむらいは、ぱっちり眼をあけて、子どもたちがせがむのをみていました。

お母さんはおどろきました。いねむりをじゃまされたので、このおさむらいはおこっているのにちがいない、と思いました。

「おとなしくしておいで。」

と、お母さんは子どもたちをなだめました。

けれど子どもたちはききませんでした。

するとさむらいが、すらりと刀をぬいて、お母さんと子どもたちのまえにやってきました。

お母さんはまっさおになって、子どもたちをかばいました。いねむりのじゃまをした子どもたちを、さむらいがきりころすと思ったのです。

「飴だまを出せ。」

とさむらいはいいました。

お母さんはおそるおそる飴だまをさしだしました。

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