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TORENDIA

活動写真

本文約2,900字 ・ 読了時間 約6分

あらすじ(AIが作成しました)

帝国館や電気館などで外国製活動写真を愛好する筆者が、その急速な進歩や作品ごとの演出を綴る。単純な映像だった初期から現代へ至る変遷を辿り、米国製探偵物や仏国俳優の妙味、連続物の是非について持論を展開する。さらに、父の術で物質的に再生し性格が一変した女性の悲劇を描く「空蝉」への感銘や、舞台装置の誠実さ、実用的なニュース映画の意義など、活動写真界の現状と課題を幅広く論じる。

淡島寒月

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🎧 活動写真 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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日本の活動写真界の益々進歩隆盛に赴いて来るのは、私のような大の活動写真好きにとっては誠に喜ばしい事である。私は日本製のものは嫌いで見ないから一向知らないが、帝国館や電気館あるいはキネマ倶楽部などの外国物専門の館へは、大概欠かさず見に行く。しかして回を追って、筋の上にも撮影法の上にも、あらゆる点において進歩しつつあるのを見るにつけて、活動写真も茲十年ほどの間に急速の進歩をしたものだと感心せずにはおられない。

一番初め錦輝館で、そもそも活動写真というものを興行した事がある。その時は、海岸へ波が打上げる所だとか、犬が走る所だとかいったような、誠に単純なもののみのフィルムで、随って尺も短いから、同じものを繰り返し繰り返しして映写したのであった。しかしながら、それでさえその時代には物珍らしさに興を催したのであった。今日の連続物などと比較して考えて見たならば、実に隔世の感があるであろう。

ところで、かつて外人の評として、伊太利製のものはナポリだとかフローレンだとかローマとかを背景にするから、クラシカルなものには適当で、古代を味うには頗る興味があるが、新らしい即ち現代を舞台とする筋のものでは、やはり米国製のものであろうといっているけれども、米国製品にしばしば見るカウボーイなどを題材にしたものは、とかくに筋や見た眼が同一に陥りやすくて面白味がない。けれども探偵物となるとさすがに大仕掛で特色を持っている。しかしこれらの探偵物は、ただほんのその場限りの興味のもので、後で筋を考えては誠につまらないものである。

三、四年前位に、マックス、リンダーの映画が電気館あたりで映写されて当りをとった事がある。ちょっとパリジァンの意気な所があって、今日のチャプリンとはまた異った味いがあった。チャプリンはさすがに米国一流の思い切った演出法であるから、それが現代人の趣味に適ってあれだけの名声を博したのであろう。

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