偶感
本文約540字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
愛らしい妹の誕生と母の健康の回復という喜びの中で、自身の執筆活動に対する心境と多忙な日々の計画を綴る。八月から翌年にかけての出版に向けた構成案の苦心や、過去の自作への冷静な評価、さらに語学学習への意欲など、創作に打ち込む作家の切実な心の内と、年に一つは作品を遺したいという強い志を詳らかにする。将来の翻訳や創作の予定を立てつつ、なすべきことに追われる日々の緊張と充実感を率直に描き出す。
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非常に愛らしい妹を得ると同時に、危ぶんで居た母の健康も廻復期に向って来たので、私は今又とない歓びに身を横えて居る。
それに、来年の四月頃に、何か一つまとめた物を出して、知人の間にだけでも分けたいと思って居るので、その出来上って居る腹案を筆に乗せるのに毎日苦しんで居る。
八月中には、大体の結構は出来上って居なければならない。
九月中には、胚胎を訂正し、次の月には、何か一つ出来たら書き、若し出来兼ねたら、鈍色の夢をも一度見なおさねばならない。
その時はかなり熱して書いたものも、今になると、あきたらぬ節が思いの外に多いのに失望する。
それは、私にとって嬉しい事であると同時に、何となし不安定な様な心のする事である。
或る一つの仕事を仕あげ様とする快いせわしさと、苦しさに迫られて居る。
今の気持では年に一つ一つ何か遺して行きたいと思って居る。
二年後には、希臘古代の彫刻家を訳して仕舞えるだろうから、そして三年目には、又何か一寸した創作でもまとめて見たい気で居る。
斯うして、考えるので、私の先は非常に多忙な訳になる。
此頃は、幸健康も確らしくなって来て居るから又とない心丈夫な事である。
語学の必要をつくづく感じて居る。
しなければならない事に追われる様で、頭が散漫になりはしまいかと怖れて居る。
完