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TORENDIA

当世二人娘

本文約17,800字 ・ 読了時間 約36分

あらすじ(AIが作成しました)

明治時代の女学生、桜井花子と竹村君子は、甲田美郎という男性を巡り、友情と疑心暗鬼の間に揺れる。君子は自らの縁談相手でもある甲田の素行を怪しみ、真実を突き止めようと奔走するが、花子はそれを君子の嫉妬や離間の策だと疑う。友情が崩壊し、君子は別の人へと嫁ぐ一方、花子は真実を知らぬまま甲田との関係を続けるのか、取り残されたその後の姿が描かれる。二人の娘の対照的な運命と、当時の女性を取り巻く複雑な縁談や人間関係を浮かび上がらせる。

清水紫琴

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その一

女学校これはこれはの顔ばかりと、人の悪口にいひつるは十幾年の昔にて、今は貴妃小町の色あるも、納言式部の才なくてはと、色あるも色なきも学びの庭へ通ふなる、実に有難の御世なれや、心利きたる殿原は女学校の門に斥候を放ちて、偵察怠りなきもあり、己れ自ら名のり出て、遠からむものは音にも聞け、近くは寄りて眼にも見よと、さすがにいひは放たねど、学識の高きを金縁の眼鏡にも示し、流行に後れぬ心意気を、洋服の仕立襟飾りの色にも見せて、我と思はむ姫あらばと、心に喚はりたまふもありとかや。これはいづれの女学校にやあらむ、いはぬはいふに増す鏡、くもらぬ影も小石川音には立てぬひそめきも、三人寄れば姦しき女の習ひ、いつしかに佳境に入りし話し声、思はず窓の外に漏れて往来の人も耳引立つめり。

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