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TORENDIA

文芸鑑賞講座

本文約10,800字 ・ 読了時間 約22分

あらすじ(AIが作成しました)

文芸を鑑賞するためには文芸的素質と適切な訓練が必要である。素質や才能の有無にかかわらず、読者は作品に丹念に目を配り、繰り返し読み返すことで自身の心境を深めるべきである。また、作品を正しく理解し鑑賞の幅を広げることは、創作上にも利益をもたらす。本作は、文芸上の作品と向き合う際の心構えや、鑑賞に資する議論の選び方を具体的に論じる。

芥川龍之介

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文芸上の作品を鑑賞する為には文芸的素質がなければなりません。文芸的素質のない人は如何なる傑作に親んでも、如何なる良師に従つても、やはり常に鑑賞上の盲人に了る外はないのであります。文芸と美術との相違はありますが、書画骨董を愛する富豪などにかう云ふ例の多いことは誰でも知つてゐる事実でありませう。しかし文芸的素質の有無と云ふことも程度によりけりでありますから、テエブルや椅子の有無のやうに判然ときめる訳には行かないのであります。たとへばわたし自身などはゲエテとかシエクスピイアと云ふ文豪なるものに比べれば、文芸的素質はないと言つてもよろしい。或はもつと下らぬ作家に比べても、ないに等しいかも知れません。けれども野田大塊先生あたりに比べれば、文芸的素質――少くとも俳諧的素質は大いにある。これはあなたがたでも同じことであります。すると文芸に興味のある人はまづ文芸的素質もあるものと己惚れてかかつても差支へありません。少くとも己惚れてかかつた方が幸福であることは確かであります。

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