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TORENDIA

臘梅

本文約290字 ・ 読了時間 約1分

※本文が短いため「あらすじ」は省略いたします。

芥川龍之介

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🎧 臘梅 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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わが裏庭の垣のほとりに一株の臘梅あり。ことしも亦筑波おろしの寒きに琥珀に似たる数朶の花をつづりぬ。こは本所なるわが家にありしを田端に移し植ゑつるなり。嘉永それの年に鐫られたる本所絵図をひらきたまはば、土屋佐渡守の屋敷の前に小さく「芥川」と記せるのを見たまふらむ。この「芥川」ぞわが家なりける。わが家も徳川家瓦解の後は多からぬ扶持さへ失ひければ、朝あさのけむりの立つべくもあらず、父ぎみ、叔父ぎみ道に立ちて家財のたぐひすら売りたまひけるとぞ。おほぢの脇差しもあとをとどめず。今はただひと株の臘梅のみぞ十六世の孫には伝はりたりける。

臘梅や雪うち透かす枝の丈 (大正十四年五月)

完

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