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TORENDIA

昭和遊撃隊

本文約97,700字 ・ 読了時間 約196分

あらすじ(AIが作成しました)

海軍技術研究所の武田博士が設計した巡洋艦『最上』級四隻は、本多光太郎博士が開発した強固な本多鋼鉄と、驚異的な行動力を誇るデーゼル機関を備える。武田博士と助手の清少年は、新型の潜水艦『富士』の開発にも挑む。太平洋上で繰り広げられる大規模な海戦の中、木下大佐率いる昭和遊撃隊が参戦し、優れた科学技術を駆使して奮闘する。戦いの終結後、凱旋する艦隊の姿を背景に、日本が勝利を収めて平和な朝を迎える様子を描く。

平田晋策

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巡洋艦『最上』の秘密

諸君、僕はわが海軍の軍機を洩すようで非常に心苦しいのだが、諸君にだけある重大な秘密をお告げしたい。

それは今、建造中の巡洋艦『最上』『三隈』『吉野』『千種』の四隻に関する秘密だ。

この四隻は同じ型の姉妹艦で、海軍省の発表によると、噸数は八千五百噸、武装は十五糎砲十五門、十二糎高角砲四門で、速力は三十三ノットだ。

この数字を見ただけでも、『最上』級が立派な世界一流の軽巡洋艦であることがわかる。現に米国海軍あたりではわが艦政本部が非公式に発表した『最上』の設計図を見て、舌をまいて驚いているのだ。

設計者は世界造船学界の権威、海軍技術研究所の第一部長、武田敏夫博士である。

武田博士は工学博士でしかも造船大佐だ。

英国ケンブリッジ大学のパークス博士は、

「今、世界の十大学者の中、三人までは日本人である。一人は東北帝大の本多光太郎博士、も一人は大阪帝大の長岡半太郎博士、最後の一人は海軍技術研究所の武田敏夫博士だ。」

と言った。

前軍令部長の加藤大将も、

「東郷元帥と武田博士は、わが海軍の生んだ二大国宝である。」

と折紙をつけている。

諸君、その武田博士が苦心惨憺、心血をそそいで設計したのが『最上』級四隻だ。今さら米国海軍が舌をまいて驚いたって、何も不思議ではない。

ところが『最上』級には、もっともっと発表されない秘密があるのだ。

第一の秘密は鋼鉄である。

『最上』に使ってある鉄は、ただの鋼鉄ではない。

今まで世界で一番強い鋼鉄は、有名なドイツのクルップ兵器会社でこしらえるニッケル・クローム鋼だった。

しかしわが『最上』の鉄は、クルップの鋼鉄よりずっとずっと強いのだ。その鉄の名は『本多鋼鉄』――言わずと知れた前東北帝大金属材料研究所長本多光太郎博士の製品である。

今、仙台の東北帝大は、憲兵が厳重に警戒している。金属研究所の加熱炉の中では鋼鉄の塊が千六百度の猛火で焼かれているのだ。

焼いて焼いて焼きつくした鋼鉄に、ある秘密の工夫を加えて出来上る『本多鋼鉄』は、クルップ鋼鉄の約三倍の強さを持っている。

だから、この新しい鋼鉄で出来た『最上』の防禦力が、どんなに強いかは諸君にも想像出来るだろう。

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