TRENDIA CLASSIC

十五夜のお月様

村山籌子

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大きい森のむかふから、ブルブルブルと小さい音が響いて来ました。木の上でねてゐた真黒な小人はそれを聞くと、とびおきて、青い着物をきて、赤い帽子をかぶつて音のする方へ飛んでゆきました。

「お月様、今晩は。ずゐ分早くおでかけですね。」と、小人が申しました。ブルブルと音をたててゐたのは赤いお月様でした。

「たくさんの子供たちが、あなたのいらつしやるのをどんなに待つてゐるでせう。さあでかけませう。」と小人は言つて、お月様と二人で森を出て、野原をとほりすぎて、街にまゐりました。

「お月様。街の灯はどうしてあんなに赤くてきれいなんでせうね。家にはみんな窓がついて、きれいだなあ。おや、あの家の窓からかわいゝ女の子が、お月様と僕とを見て笑つてゐますよ。」と小人が指さしました。

「ほんとに、私たちの方を見て笑つてゐるやうですね。おや、あれは私の子供ですよ。」とおつしやいました。

「え? ほんとですか。お月様。」と、小人はびつくりしました。

「ほんとですとも。うそと思ふならあすこへ行つてきいてごらんなさい。」と、お月様はお笑ひなさいました。

そこで小人は大いそぎで、一とびに女の子のゐる窓にとびついて、

「今晩は。かわいいお嬢さん。あなたはお月様の子供ださうですが、ほんとですか。」とききますと、女の子は、

「えゝ、さうです。私はお月様の子供です。」と笑ひました。

「ほんとに、あなたのお顔はお月様のやうにきれいですね。あなたはこの家で毎日なにをしていらつしやるのですか。この街はほんとに美しい街ですね。」と、小人が聞きました。

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