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TORENDIA

人間再建

本文約610字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

二十四歳の青年は、癩という病に対し極めて敏感で些細な症状にも沈鬱になる傾向を持つ。語り手である私は、時に嫌悪感を抱きつつも彼を愛しており、二人の関係性を前提として青年の告白記を紹介する。本作は、思想や知識では人は救われず、それらが信念と化した時にのみ人間を動かす力が宿るという、信仰を求める青年の内面や病を抱える者としての苦悩を綴る作品である。

北条民雄

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🎧 人間再建 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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私は彼の告白記を紹介する前に、一応私と彼との関係や、間柄を記して置きたいと思ふ。別段深い理由はないのだが、なんとなくさうして置きたいのだ。ついでに言つておくが、私は時々彼を不快な男だと思つて嫌悪を覚えることもあるが、しかしほんとを言へば私は彼を好いてゐる。と言ふよりも、愛してゐるくらゐだ。

彼は今年二十四で、身長は先づ五尺一寸くらゐであらうと思ふ。だから大きな男ではない、いや男としては随分ちびな方だ。病気はまあ軽症だと言つていいだらう。もつとも、時々神経痛にやられて臥つてゐることもあるが、それも大してひどいものではない。彼自身では相当重症だと思ひ込んでゐるらしいが、私に言はせれば彼なんかまだまだ癩の入口を覗いてゐるくらゐのものだ。しかし病気に対しては彼は驚くほど敏感で、ちよつとしたことにもすつかり意気銷沈して滅入り込んでしまふ。例へば陽気の工合でほんの少し神経が脹らんだり、読書で眼が充血したりしようものなら、忽ち頭から布団を被つて、われわれが訪ねて行つても口もろくに利かないといふ有様だ。そんな時私は持前の意地悪な気持から、からかつて見たりすると、彼は軽蔑したやうな眼つきで私を眺めながら、…………

思想では決して救はれない。

信じるか信じないか、これだけだ。

我々は凡ゆる権威や信念を疑つて来た。しかし僕は今は信念が欲しいのだ。人間を動かすものは思想でも知識でもない、ただ思想や知識が信念と化した時にのみ力を有つ。

完

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