TRENDIA CLASSIC
酸漿
原民喜
1 / 1
結婚式の二時間前、彼女は畳に落ちてゐた酸漿を拾って鳴らして捨てた。
朝、夫が役所へ出て行くと、彼女はもう一度寝床に潜り込んで、昼過ぎに起きた。それから煎餅を噛りながら新聞を読んだ。それから夕方まで鏡台に対ってぽかんと暮した。
夫が出張で三日も帰らないと、彼女はふらりと街へ出掛ける。夜遅くそこの窓のカーテンには男の影が大きく映ったりした。
彼女の生んだ赤ん坊が這ひ出す頃、その子は、ほほづきを拾って食べて、呼吸がつまって死んだ。子を失った彼女は奇妙に若返った。若くなるためには、人知れぬ工夫がされた。しかし何よりもいけないのは、他人が彼女の齢を註文よりも老けてみることだった。さうした場合、彼女は癇癪が起きて、咽喉が塞がりさうになった。
原民喜の他の作品
TRENDIA CLASSIC
絵にそへて
原民喜
絵にそへて
原民喜 ・ 約2分
TRENDIA CLASSIC
渚
原民喜
渚
原民喜 ・ 約1分
TRENDIA CLASSIC
青空の梯子
原民喜
青空の梯子
原民喜
TRENDIA CLASSIC
悪夢
原民喜
悪夢
原民喜
TRENDIA CLASSIC
アトモス
原民喜
アトモス
原民喜
TRENDIA CLASSIC
秋日記
原民喜
秋日記
原民喜
TRENDIA CLASSIC
ある時刻
原民喜
ある時刻
原民喜
TRENDIA CLASSIC
ある手紙
原民喜
ある手紙
原民喜
TRENDIA CLASSIC
飯田橋駅
原民喜
飯田橋駅
原民喜
TRENDIA CLASSIC
遺書
原民喜
遺書
原民喜
TRENDIA CLASSIC
淡雪
原民喜
淡雪
原民喜
TRENDIA CLASSIC
椅子と電車
原民喜
椅子と電車
原民喜