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TORENDIA

酸漿

本文約320字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

結婚式の直前に酸漿を拾って捨てた彼女は、夫の留守に街をさまよい、赤ん坊を失ってなお奇妙に若返る。老けて見られることだけを嫌う女の日常を淡々と描く原民喜の掌編。

原民喜

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🎧 酸漿 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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結婚式の二時間前、彼女は畳に落ちてゐた酸漿を拾って鳴らして捨てた。

朝、夫が役所へ出て行くと、彼女はもう一度寝床に潜り込んで、昼過ぎに起きた。それから煎餅を噛りながら新聞を読んだ。それから夕方まで鏡台に対ってぽかんと暮した。

夫が出張で三日も帰らないと、彼女はふらりと街へ出掛ける。夜遅くそこの窓のカーテンには男の影が大きく映ったりした。

彼女の生んだ赤ん坊が這ひ出す頃、その子は、ほほづきを拾って食べて、呼吸がつまって死んだ。子を失った彼女は奇妙に若返った。若くなるためには、人知れぬ工夫がされた。しかし何よりもいけないのは、他人が彼女の齢を註文よりも老けてみることだった。さうした場合、彼女は癇癪が起きて、咽喉が塞がりさうになった。

完

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