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TORENDIA

フランケンシュタイン

本文約2,100字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

スイスで滞在中に怪奇小説の執筆を志した著者は、夫シェリーらの科学的な議論に触れ、死体に生気を与えようとする研究者の恐ろしい姿を幻想する。接ぎ合わされた生命を誕生させた科学者の苦悩と、自身の造った存在に追われる悲劇的な運命を描く本作は、人間内部に潜む醜怪な激情と愛や徳を護ろうとする闘いを追求した一編である。浪曼派の風潮の中でベストセラーとなった本書の成立過程や、不朽の物語としての意義を訳者が解説する一冊。

宍戸儀一

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🎧 フランケンシュタイン / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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この『フランケンシュタインまたは今様プロメテウス』(Frankenstein, or The Modern Prometheus)は、一八一八年、著者二十一歳の時に書かれた。その前の年に、フランス、スイス、ドイツ、オランダの諸国を六週間で旅行した話をシェリーとの共著で出しているから、この著者もかなり早熟の天才であったのだろう。

しかし、著者自身「夫にはただ一つの出来事の暗示も負うておらず、ただ一聯の感情の暗示もほとんど受けなかった」と述べているが、夫シェリーの天才の影響なしにこの作品を書いたかどうかは疑わしい。もちろん、シェリー自身が筆を入れることはしなかったとしても、著者の幻想や情熱が夫の燃えるような影響のもとにあり、構想その他の点でいろいろの助言を受けたと考えられるふしもなくはない。シェリーはもともと、科学的な知識の習得と実験に興味をもっていたらしいが、当時の科学の水準が低かったために、中世の煉金術に興味をもち、幽霊を呼び出す実験に耽ったこともあるという。

一八二八年の夏、シェリーと著者はスイスに行き、偶然に詩人バイロンと隣り合せに住むことになったが、その夏は雨が多く、さむざむした日が多かったので、家に閉じこもる日が多く、所在なさにそこにあったドイツの怪談の本を数冊読んだが、そのころ『チャイルド・ハロルド』の第三章を書いていたバイロン卿の提案で、こんな通俗的な幽霊話でなく、みなで一篇ずつ、超自然的な出来事を土台とする高度の文学作品を書こう、ということになった。こういう主題は、その当時の澎沛たる浪曼的風潮にも合致していたので、みんなで興奮して、さっそく書きはじめようと約束したが、そのうちに天気がよくなって、シェリーとバイロンはアルプスの山に出かけ、その壮大な風景に打たれて、雨の夜の陰気な約束などを忘れてしまった。しかし、この本の著者は忘れなかった。怖ろしさに歯の根が合わなくなり血も凍えてしまうような、そういう神秘的恐怖の物語――それを明けても暮れても考えたのである。

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