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TORENDIA

犬のいたずら

本文約1,200字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

大晦日の夜、都の四辻で偶然出会った犬と猪が、それぞれの年に生まれた子供たちの行いについて語り合う。犬は子供たちの善行と悪行を記した荷物を携え、成長後に報いや罰を与える計画を明かす。しかし、猪から成長に伴う心境の変化を指摘され、二人は子供たちが二十五歳になった時点の行いを見てから判断を下すという新たな取り決めを交わす。それぞれが自身の年の子供たちの動向を見守ることを誓い、二人は新年の訪れと共に別れていく。

夢野久作

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🎧 犬のいたずら / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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去年の十二月の三十一日の真夜中の事でした。一匹の猪と一匹の犬がある都の寒い寒い風の吹く四辻でヒョッコリと出会いました。

「ヤア犬さん、もう帰るのかね」

「ヤア猪さん、もう来たのかね」

と二人は握手しました。

「もうじき来年になるのだが、それまでにはまだ時間があるから、そこらでお別れに御馳走を食べようじゃないか」

「それはいいね」

二人はそこらの御飯屋へ行って、御飯を食べ始めました。

「時に犬さん、お前の持っているその大きな荷物は何だね」

と猪は小さな眼をキョロキョロさせて尋ねました。

「これは犬の年の子供がした、いい事と悪い事を集めたものさ」

「ヘー。善い事悪い事ってどんな事だね」

「それはいろいろあるよ。他人の草履を隠したり、拾い食いをしたり、盗み食いをしたり、垣根を破って出入りしたり、猫をいじめたり、お母さんや姉さんに食いついたり」

「ヘエ、そんな事をするかね」

「するとも。それから良い方では、人のものを探してやったり、落ちたものをひろってやったり、小さい子をお守してやったり、人の命を助けたり」

「ヘエー、それはえらいね。しかしそんなものを集めて持って行ってどうするのかね」

「今に十二年目になると僕が帰って来る。その時には犬の年の子供は最早二十五になっている。男の児は最早兵隊に行って帰って来ているし、女の児ならばお嫁さんに行く年頃だから、その時に良い事をした児には良い事をしてやり、悪い事をした子には何か非道い罰を当ててやろうと思うんだ」

「フーン」

と猪は犬の言葉を聞いて腕を組んで考えました。

「オヤ猪君、何を考えているのだい」

「ウン。犬さんがそう言うと、成る程一々尤もだが、それはあまり感心しないぜ」

「何故、何故」

と犬は眼を瞠って申しました。

「それは、今年はまだ小僧だからまだいたずらをするだろう。しかし二十四にも五にもなったら、だんだんわけがわかって来て、そんないたずらをしなくなるだろう。そんなにいい人になった時に罰を喰わせるのは可哀そうではないか」

このように言われると犬も考えました。

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