TRENDIA CLASSIC
暗い天候
中原中也
1 / 1
二
こんなにフケが落ちる、
秋の夜に、雨の音は
トタン屋根の上でしてゐる……
お道化てゐるな――
しかしあんまり哀しすぎる。
犬が吠える、虫が鳴く、
畜生! おまへ達には社交界も世間も、
ないだろ。着物一枚持たずに、
俺も生きてみたいんだよ。
吠えるなら吠えろ、
鳴くなら鳴け、
目に涙を湛へて俺は仰臥さ。
さて、俺は何時死ぬるのか、明日か明後日か……
――やい、豚、寝ろ!
こんなにフケが落ちる、
秋の夜に、雨の音は
トタン屋根の上でしてゐる。
なんだかお道化てゐるな
しかしあんまり哀しすぎる。
三
この穢れた涙に汚れて、
今日も一日、過ごしたんだ。
暗い冬の日が梁や壁を搾めつけるやうに、
私も搾められてゐるんだ。
赤ン坊の泣声や、おひきずりの靴の音や、
昆布や烏賊や洟紙や首巻や、
みんなみんな、街頭沿ひの電線の方へ
荷馬車の音も耳に入らずに、舞ひり舞ひり
吁! はたして昨日が晴日であつたかどうかも、
私は思ひ出せないのであつた。
中原中也の他の作品
TRENDIA CLASSIC
不可入性
中原中也
不可入性
中原中也 ・ 約2分
TRENDIA CLASSIC
(あなたが生れ
たその日に)
中原中也
(あなたが生れたその日に)
中原中也
TRENDIA CLASSIC
秋の日曜
中原中也
秋の日曜
中原中也
TRENDIA CLASSIC
Me Voil
a
中原中也
Me Voila
中原中也
TRENDIA CLASSIC
アンドレ・ジイ
ド管見
中原中也
アンドレ・ジイド管見
中原中也
TRENDIA CLASSIC
医者と赤ン坊
中原中也
医者と赤ン坊
中原中也
TRENDIA CLASSIC
いちぢくの葉
中原中也
いちぢくの葉
中原中也
TRENDIA CLASSIC
在りし日の歌
中原中也
在りし日の歌
中原中也
TRENDIA CLASSIC
一度
中原中也
一度
中原中也
TRENDIA CLASSIC
いちじくの葉
中原中也
いちじくの葉
中原中也
TRENDIA CLASSIC
海の詩
中原中也
海の詩
中原中也
TRENDIA CLASSIC
幼き恋の回顧
中原中也
幼き恋の回顧
中原中也