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TORENDIA

Me Voila

本文約480字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

実生活は論理的にやるべきだと説きながらも、幼い日の記憶や小学校の鐘の音が呼び覚ます生への愛惜を見つめ、地上を愛するにはまず神を愛す必要があると語る中原中也の詩論的断章「Me Voila」。

中原中也

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🎧 Me Voila / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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人がいかにもてなしてくれようとも、それがたゞ暖い色をした影に見え、自分が自分で疑はれるほど、淋しさの中に這入つた時、人よ憶ひ出さないか? かの、君が幼な時汽車で通りかゝつた小山の裾の、春雨に打たれてゐたどす黒い草の葉などを、また窓の下で打返してゐた海の波などを……

※

実生活は論理的にやるべきだ! 実生活にあつて、意味のほか見ない人があつたら、その人は実生活以外にも世界を知つてゐる人だ。則ち科学でも芸術でもない、大事な一事を!

げにわれら死ぬ時に心の杖となるものがあるなら、ありし日がわれらの何かを慄はすかの何か! ――生を愛したといふことではないか?

小学の放課の鐘の、あの黄ばんだ時刻を憶ひ出すとして、タダ物だと思ひきれるか?

(社交家達といふものは理智で笑つて感情で判断する。即ち意味に忠実でないからだ。―――)

※

さうしてよき心の人よ、あれら手際よい技能家や学者等を恐れたまふな。あれら魂が稀薄なために、夢が浅いので歯切れが好いばかりだ。―――彼等が歯切れの好いことは彼等の人格と無関係だ。

※

地上を愛さんために、人は先づ神を愛す必要がある!

(一九二八・四)

完

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