本文へ移動
TORENDIA

寒い夜の自我像

本文約340字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

哀しげな歌をやめてと恋人に訴えながら、悲しみに耐えきれず自分を見失う弱さを神に憐れんでほしいと祈る、中原中也の詩。

中原中也

速度
🎧 寒い夜の自我像 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 1

2

恋人よ、その哀しげな歌をやめてよ、

おまへの魂がいらいらするので、

そんな歌をうたひだすのだ。

しかもおまへはわがままに

親しい人だと歌つてきかせる。

ああ、それは不可ないことだ!

降りくる悲しみを少しもうけとめないで、

安易で架空な有頂天を幸福と感じ做し

自分を売る店を探して走り廻るとは、

なんと悲しく悲しいことだ……

3

神よ私をお憐み下さい!

私は弱いので、

悲しみに出遇ふごとに自分が支へきれずに、

生活を言葉に換へてしまひます。

そして堅くなりすぎるか

自堕落になりすぎるかしなければ、

自分を保つすべがないやうな破目になります。

神よ私をお憐れみ下さい!

この私の弱い骨を、暖いトレモロで満たして下さい。

ああ神よ、私が先づ、自分自身であれるやう

日光と仕事とをお与へ下さい!

(一九二九・一・二〇)

完

中原中也の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本