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TORENDIA

平仮名の説

本文約2,300字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

明治維新後の国語表記をめぐる議論の中で、平仮名による文章の統一を提唱する。漢字や漢語が混在する当時の和漢雑用や、英語への改変といった諸説の問題点を指摘し、言語と文章が一致してこそ人々の知識が進むと説く。婦女童子にも親しまれる平仮名の習得の容易さと、文章が文脈により意味を成すという観点から、平仮名が日常の教化や情報伝達において最も利便性が高く、真に実用的な表記であるという主張を綴る。

清水卯三郎

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🎧 平仮名の説 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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維新の際、論者文字を改めて通用に便せんと欲し、あるいは平仮名を用いんと云い、あるいは片仮名を用いんと云い、あるいは洋字に改めんと云い、あるいは新字を作らんと云い、また邦語を廃して英語に改めんと云う者あり。また従前のごとく和漢雑用に従わんと云う者あり。しこうしてこれを問えばおのおのその説あり。しかれども天下のこと、通用便利を欠くときはその用に適せず、その用に適せざるときは教化訓導の術を損す。けだし邦語を廃して英語に改めんと云う者はもとより論を待たず。和漢雑用は古来すでに用うるところ、おおいにその用に適すといえども、天下これを読む者幾何人、はた字書ありというと云えども、草行の体に至りては、また如何せん。かの布告、著述のごとき、傍訓、助語の煩労ありて、天下これをよく了解する者、また幾許人ぞ。あるいは教授の至らざるなりといえども、もと学習の易からざるによる。かつそれ烟管・喜世留、硝子・玻璃、莫大小・目利安、不二山・冨士山の類、一物字を異にし、長谷、愛宕、飛鳥、日下、不入斗、九十九のごとく、別に字書を作るにあらざれば知るべからず。日蝕〈(にちしょく、[#改行]じっそく)〉、香港〈(かうこう、[#改行]ほんこん)〉、上海〈(しょうかい、[#改行]さんはい)〉、紫蘇〈(しそ、[#改行]ちそ)〉、昆布〈(こんぶ、[#改行]こぶ)〉の類、一物二音。清水〈(しみづ、きよみづ、[#改行]せいすい)〉、神戸〈(かうべ、かんべ、[#改行]かんど、ごうど)〉のごとき、一語数訓あり。新に字書を作ると云うといえども、いずれの訓か取て充つべきを知らず。かつ今日のごとく音語、新字陸続更出するときは、多年の苦学にあらざれば通常の書も読むこと能わず。しからばすなわち和漢雑用もまた、教化訓導のほか日用便利の器にあらず。また洋字に改むるものは、なお米飯をもって麺包に代え、味噌をもって酥酪に代るがごとし。その滋養は勝るるといえども、現にその不便を観る。しかれども、別に新字を作るものに勝るることあり。

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