千里駒後日譚
本文約13,900字 ・ 読了時間 約28分
あらすじ(AIが作成しました)
明治三十二年、相州横須賀に住む阪本龍馬の妻・楢崎龍が、川田雪山に対して、かつての海援隊での日々や龍馬との記憶を語る。本書は、既存の書籍に記された龍馬に関する事実に誤りが多いと感じた雪山が、龍馬の最も身近にいた龍から直接聞き取った証言を綴る。伏見での遭難事件や、海援隊の人々の動静、龍馬の最期を看取った当時の心境など、世間で語られる物語とは異なる真実を伝える。
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川田雪山、聞書 「土陽新聞」連載、明治三十二年十一月
(一回)
御一新前土佐藩から出て天下を横行した海援隊の隊長に阪本龍馬と云ふ豪傑が有つて、又其妻に楢崎お龍と云ふ美人で才女で、加之に豪胆不敵な女のあつた事は諸君善く御承知でせう、其お龍が今猶ほ健固で相州横須賀に住んで居る。僕は近頃屡ば面会して当時の事情を詳しく聞ひたが、阪崎氏の「汗血千里駒」や民友社の「阪本龍馬」などとは事実が余程違つて居る、符合した処も幾干か有るが鷺を鴉と言ひ黒めた処も尠なからぬ。もし此儘で置ては徒だ後世を誤る斗りと思ふから聞ひた儘を筆記して、土陽新聞の余白を借り、諸君の一粲を煩す事にしました、唯だ文章が蕉拙くつて這の女丈夫を活動させることの出来ないのが如何にも残念です。
又この後日譚に就ての責任は一切僕が引受ます。
◎十月念八日、雪山しるす。
海援隊の人数ですが、水夫も加へれば六七十人も居たでせう。私の知つて居る人では石川誠之助(中岡慎太郎)、菅野覚兵衛、高松太郎、石田英吉、中島作太郎(信行)、近藤長次郎、陸奥陽之助(宗光)、橋本久太夫、左柳高次、山本幸堂、野村辰太郎、白峰駿馬、望月亀弥太、大利鼎吉、新宮次郎、元山七郎、位です。陸援隊はまだ出来て居らなかつたので、石川さんは初は一処に海援隊でした。面白い人で、私を見るとお龍さん僕の顔に何か附いて居ますかなどゝ、何時もてがうて居りました。