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TORENDIA

ラヂオ文学の収穫――「なだれ」

本文約530字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

真船豊のラヂオ・ドラマ集は、既存の戯曲の定石を尊重しつつ、聴覚的な効果を緻密に計算した作品群を収める。作者は現実的な視点と鋭い日常観察に基づき、北国の風情を彷彿とさせる人間模様を鮮明に描き出す。本書は放送時に好評を博した四篇を通じ、文学の延長としてラジオドラマという新しい表現分野をいかに構築すべきかを論じ、その技法や可能性を教科書的に提示している。

岸田國士

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🎧 ラヂオ文学の収穫――「なだれ」 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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真船豊氏のラヂオ・ドラマ集を一読して感じたことは、いはゆる「ラヂオ・ドラマ」の形式としての目立つた新工夫がない代り、飽くまでも戯曲の定石を踏んで、しかもラヂオ的な効果をねらつた独得の計算が行はれてゐるといふことである。

元来、戯曲家としての氏の才能は、現実的な物の捉へ方にあるのである。興味の対象となつた人間の生活の一場面は、正確な日常的の観察と稀に見る執拗な粘着力によつて極めて躍如たる風景として描き出されるのが常である。この才能に加ふるに氏はあらゆる舞台的手法を寛大に率直に駆使して作品に十分のアクセントを与へ、かつあらゆる題材は一種北国的な相貌によつてかの吹雪と馬橇の鈴の音とを想ひ浮べさせる。万人の心を惹く所以である。

本集収むるところのラヂオ・ドラマ四篇、それ/″\放送に際しては好評を博したものださうであるが、今読んでみてなるほどそれは当然のことと思はれる。

ラヂオ・ドラマは将来どういふ発達を遂げるか、この点に関してはいろ/\議論もあらうが、真船氏の作品は文学の延長としてこの新しい表現部門を見事に征服したといへるであらう。その意味においてたしかに「なだれ」一巻は当節、ラヂオ文学の一つの教科書ともなり得るものであることを私はこゝに吹聴して憚らない。

完

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