本文へ移動
TORENDIA

踏査

本文約300字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

日記や手紙よりも、実際にその土地を歩いて確かめる「踏査」を重んじる創作の姿勢を語るエッセイ。小説『田舎教師』の舞台を歩いた体験から、実在を尊ぶ自身の作風について考察する。

田山録弥

速度
🎧 踏査 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 1

街道がある。其處に日が照る。人が通つて居る。向うには山の翠が見える。それは年々歳々同じである。秋が來れば稻が熟つて、里川に澄んだ水に雜魚の泳ぐのが鮮かに見える。稻を滿載した車がガラガラと音を立てゝ通つて行く。私は其處に一『田舍教師』の歩いて行く姿を明かに見得た。

踏査――私はこの踏査といふことを地理學から學んだ。

日記よりも手紙、手紙よりも踏査の肝要なのを私は感じた。

歴史地理といふ學問は面白い學問である。私は小説地理といふことを『田舍教師』に由つて考へた。

私が小説製作上實在を尊ぶのは、決して消極的ではない、積極的である。史家が古城址をさぐり、地理學者が山嶽を踏査するのと同じ位に思つてゐる。

完

田山録弥の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本