本文へ移動
TORENDIA

秘魯國に漂著せる日本人

本文約2,400字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

東西両半球間における過去の人類の交流について、先行研究や資料を引用しつつ論じる。著者自身の見聞や日記を基に、風と潮流により流され秘魯国へ漂着した日本人の実例、および南アフリカや西印度諸島で流寓生活を送る同胞たちの記録を紹介し、古来からの日本人の航海と海外への足跡を綴る。

南方熊楠

速度
🎧 秘魯國に漂著せる日本人 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 3

英譯 Ratzel,‘The History of Mankind,’ 1896 vol. , p. 164. に東西兩半球間過去の交通を論じ、「日本と支那より西北亞米利加に漂著せる人あり。又米國の貨品が布哇に漂著せる例あり。然れども南半球に至りては、高緯度に有て風と潮流が西より南米大陸に向ひ、赤道近くに隨ひ、風潮並びに南米より東方に赴き去り、凡て東半球と南米間に人類の彼此往來有りし確證實例なし。たゞ民俗相似の點多きより推して、曾て斯る交通有たるを知るのみ」と述たり。

未開の民が、風と潮流に逆うて弘まり行きし例あるは、第十一板エンサイクロペヂア・ブリタンニカ卷二十二、三四頁に、多島海人古へ航海に長じ、其邊の風と潮流主として東よりすれども、時に西よりする事有るを利用し、印度洋島より發程して、遂に遠く多島海諸島に移住せる由を言へり。Daniel Wilson,‘Prehistoric Man,’ 1862, ch. & ※[#ローマ数字25小文字、45-10]. に、南太平洋に太古今よりも遙かに島數多かりしが、漸々海底に沈みし由を論じ、多島海人が往昔航海術に長ぜる記述に及ぼし、人間が東半球より西半球に弘まりしは、第一多島海より南米に移りて秘魯、中米等の開化を建立し、第二に大西洋を經て西印度、中米、ブラジル等に及ぼし、第三にベーリング海峽及び北太平洋諸島より北米に入りし者の如しと説きたり。

今東半球の赤道以北よりすら、甞て南米に漂著せる人の絶無ならざるを證する爲に、予の日記の一節を略ぼ原文の儘寫し出す事次の如し。

南方熊楠の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本