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TORENDIA

棄老伝説に就て

本文約620字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

信州姨捨山や伊豆など各地に残る棄老伝説を題材に、かつて日本や欧州など世界各地で広く行われていた老人を捨てる風習について論じる。日本の上代に見られた殉死などの古俗を引き合いに出し、飛騨の事例を挙げつつ、親を捨てに行く子がやがて自身の老後を想像して棄老の風習を止めるという説話が、東西を問わず広く伝承されている事実を明らかにする。

南方熊楠

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🎧 棄老伝説に就て / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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誰も知つた信州姨捨山の話の外に伊豆にも棄老傳説があると云ふのは(郷土研究三の二四三)棄てられた老人には氣の毒だが、史乘に見えぬ古俗を研究する人々には有益だ。一九〇八年板ごむの「歴史としての民俗學」第一章などを見ると、今日開明に誇る歐羅巴人の多くの祖先も都々逸御順で、老は棄てられ壯きは殘る風俗で澄して居たらしい。吾邦固より無類の神國で、上代の民純朴だつたは知れ切つた事ながら、時世と範圍相應に今日から見ると、奇怪な習慣も隨分行はれたは大化の初年迄人死する時、人を絞して殉ぜしめ、信濃國で夫死すれば妻を殉ぜしめたなどで訣る。されば地方によつて老人を棄て風も有つたのだらう。昨年押上中將から惠贈せられた高原舊事に、「飛騨の吉野村の下に人落しと云ふ所あり。昔は六十二歳に限り此所へ棄てしと云ふ」とある。さて親を棄てに行つた子が、自分も其齡になれば棄てられると考へ付いての發意で、此事が止んだと云ふのは、漢の皇甫謐の孝子傳・萬葉集・今昔物語・ぐりんむの獨逸童話其他に多く見えて、歐亞諸邦に瀰漫した譚である。(南方熊楠)

底本・初出:「土俗と傳説 第壹卷 第壹號」文武堂店

1918(大正7)年8月

入力:高柳典子

校正:多羅尾伴内

2003年7月24日作成

青空文庫作成ファイル:

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完

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