三人の百姓
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あらすじ(AIが作成しました)
北の山奥の村で、伊作、多助、太郎右衛門の三人の百姓が、城下へ向かう途中の坂で捨てられた赤児を見つける。赤児は小判を帯びており、三人はこの赤児を拾い上げる。太郎右衛門は子供を連れ帰り、妻と共に朝太郎と名付けて大切に育てる。四年後、城下から代官が現れ、朝太郎が殿の世継ぎであると明かす。朝太郎は城へと引き取られるが、太郎右衛門は別れを惜しみ、いつか戻ってくるようにと願う。
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昔、ある北の国の山奥に一つの村がありました。その村に伊作、多助、太郎右衛門という三人の百姓がありました。三人の百姓は少しばかりの田を耕しながら、その合間に炭を焼いて三里ばかり離れた城下に売りに行くのを仕事にしておりました。
三人の百姓の生れた村というのは、それはそれは淋しい小さな村で、秋になると、山が一面に紅葉になるので、城下の人たちが紅葉を見に来るほか、何の取柄もないような村でありました。しかし百姓たちの村に入るところに大きな河が流れて、その河には、秋になると、岩名や山魚が沢山に泳いでいました。村の人たちは、みんな楽しそうに、元気で働いていました。
伊作、多助、太郎右衛門の三人は、ある秋の末に、いつものように背中に炭俵を三俵ずつ背負って城下へ出かけて行きました。三人が村を出た時は、まだ河の流れに朝霧がかかって、河原の石の上には霜が真白に下りていました。
「今日も、はあお天気になるべいてや。」
と伊作が橋を渡りながら、一人言のようにいうと、ほかの二人も高い声で、
「そんだ、お天気になるてや。」
と調子を合わせて、橋を渡って行きました。三人はいつものように、炭を売ってしまった後で、町の居酒屋で一杯ひっかける楽しみのほか、何の考えもなく足を早めて道を歩いて行きました。
伊作は丈の高い一番丈夫な男だけに、峠を登る時は、二人から一町ほども先きを歩いていました。多助と太郎右衛門は、高い声で話をしながら坂を登って行きました。二人は浜へ嫁に行っていた村の娘が、亭主に死なれて帰って来たという話を、さもさも大事件のように力を入れて話していたのでした。
峠を越すと、広い平原になって、そこから城下の方まで、十里四方の水田がひろがって、田には黄金の稲が一杯に実っていました。
「伊作の足あ、なんて早いんだべい!」
と多助は太郎右衛門に言いました。
「ああした男あ、坂の下で一服やってる頃だべい。」
と太郎右衛門は笑いながら答えました。多助と太郎右衛門が、峠を越して平原の見えるところまで来た時、坂の下の方で伊作が一生懸命に二人の方を見て、手を振っているのが、見えました。