入所時感想録
本文約740字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
吉田豊道が記した入所時の感想録を収める。マルクス主義を論駁しようと研究を開始した著者が、却ってその正当性を確信し実践に至った経緯を明らかにする。裁判の判決に対する不服の念、被害者や家族に対する無関心な心情、そして自身の最大の問題点である散漫な性格や将来の展望について、取り調べ項目に応じる形式で率直に綴る。収容中の生活態度や思想信条についても明記する記録である。
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六三五番 氏名 吉田豊道
一 犯罪するに至った筋道を記せ
自分ハ最初世上ノ俗論ニ迷ハサレテ、マルクス主義ハ一箇ノユートピアニ過ギナイト信ジテ居タ。シカモ世上ノ反マルクス主義論ハ矛盾百出迷理錯雑一モ理論トシテ取ルニ足ルベキモノハナイ。ヨッテ自分ハマルクス主義ノ正シクナイ事ヲ完全ニ理論的ニ証明セントシテ研究ヲ始メタガ、ソノ結果ハ却ッテ同主義ハアクマデ正当デアリ、且ツ無産階級解放ノ唯一ノ途デアル事ヲ認メルニ至ッタ。真理デアル以上ハ実践スルノハ当然デアル。自分ハカク信ジテコレヲ行動ニ移シタノデアル。 二 裁判言渡しの時どう感じたか
実ニ不都合デアルト感ジタ 三 受刑者として収容せられた時どう感じたか
別ニ処感ナシ 四 被害者に対してどう思ふか
自分ハ正当ト信ズル事ヲ行ッタノミデアル。自分ノ行為ニヨッテ害ヲ被ッタ者ガアリトスレバ、モトヨリ彼等ガ不正ナノデアルカラ、従ッテ何等気ノ毒ニ思ヒヤウハナイ。 五 父母祖先及び家族に対してどう思ふか
別ニ処感ナシ。 六 犯罪に因りて得た金品は何に使ったか
毫モ利欲ヲ目的トシテナシタ行為デハナク、従ッテ金品ハ何等得テ居ナイ 七 自分の悪癖は何と思ふか
事ヲナスニ於テ散漫ニ陥ルノガ自分ノ最大ノ悪癖デアルト思フ 八 是れまで何か信じて居ったか
宗教ノ意味ナレバ何モナシ。主義トシテハ勿論マルクス主義ヲ信奉シテ居ル。 九 今後信仰によりて真に生きたい気はないか
絶対ニナシ。 十 収容中どんな心掛けで暮す積りか
普通ニ暮ス積リデ居ル 十一 今後どうして世渡りをする積りか
糧道ハ出来得ル限リペンニ依ッテ得テ行ク積リデ居ル。 十二 釈放後は何処に帰り誰をたより何業に就く積りか
一旦帰宅スル積リデ居ル。ソレ以上ノ具体的ノ事ハ釈放時ノ事情ニヨッテ決スルノデアルカラ今カラ何トモ言ヘナイ。 十三 其他希望又は感じたことを記せ
完