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TORENDIA

原子力の管理

本文約8,200字 ・ 読了時間 約17分

あらすじ(AIが作成しました)

広島・長崎の惨状を目の当たりにした著者が、原子爆弾の威力を踏まえ原子力の管理と戦争絶滅の必要性を論じる。戦争の抑止力として原子力が不可避な重圧となる現状のディレンマを分析し、アメリカの独占期間に国際平和機構を発達させ、世界政府の樹立を目指すべきだと説く。科学者として、科学技術が侵略戦争に利用されることを防ぐため、国際的な不戦同盟を結成し、平和国家の樹立に向け努力することを提言する。

仁科芳雄

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一 緒言

原子爆弾の攻撃を受けて間もない広島と長崎とを目撃する機会を得た自分は、その被害の余りにもひどいのに面を被わざるを得なかった。至る処に転がって居る死骸は云う迄もなく、目も鼻も区別できぬまでに火傷した患者の雑然として限りなき横臥の列を見、その苦悶の呻きを聞いては真に生き地獄に来たのであった。長崎では有名な浦上天主堂が見る影もない廃墟となり、古くからの敬虔な信者もろともその歴史と伝統とを閉じてしまったであろう。学校その他の貴い文化施設も跡かたもなく焼け又は潰れて了って居る。自分は小高い丘の上から広島や長崎の光景を見下して、これがただ一個の爆弾の所為であるという事実を、今更しみじみと心の底に体得し、深い溜め息の出るのをどうすることもできなかった。そして戦争はするものではない。どうしても戦争は止めなければならぬと思った。広島や長崎を見ては平和論者の主張の正しいことが文句なく人を説得してしまうのである。原子爆弾のできた今日となっては何人も戦争に対する態度を根本的に変えなくてはならぬ。即ち戦争の惨害は従来の武器とは全く比較にならぬほど広汎にして深刻となり、且つ孰れの戦争参加国にとってもその残虐なる被害は不可避となったのである。又侵略戦争を惹起した犯罪国が、その目的のために準備した原子爆弾により、一挙にしてその目的を達成し、平和国家を蹂躙してしまうという不正義が行われ得る可能性も生じて来たのである。

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