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TORENDIA

無題(故海野十三氏追悼諸家文集)

本文約470字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

海野十三氏の作品を全部読ませてほしいと言ってきた辛口の若い学生の逸話を通して、その聡明さと美しい魂を惜しむ野村胡堂の追悼文。

野村胡堂

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🎧 無題(故海野十三氏追悼諸家文集) / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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「海野さんのものを全部読まして下さい」と言って来た、若い電気学生があった。それは私の知人の次男坊で、私の書いたものなどは、鼻であしらって、一向感服した顔もしてくれないお点の辛い青年であったが、海野君の作品にひどく傾倒して、私の持っている海野十三氏著の幾十冊を悉く読破して、まだもの欲しそうな顔をしているのであった。

その青年は今はもう立派な弱電気の学者になり、さる学校で教鞭を執っているが、今でもなお海野君の愛読者たるに変りはなく、海野君に満腔の好意を持っていることを私は知っている。

海野君の強さは、斯んなところにあったと思う。あの作品に通じている特色は、海野君の聡明さと、あの魂の美しさだ。

海野君の死は惜んでも惜み足りない。私も若くて親切な友人を喪った悲しみに打ひしがれているが、それよりも海野君を喪った、幾十万の読者の悲みと失望は容易ならぬことだろうと思う。

これは決して形容詞や誇張ではない。私と海野君の交りは極めて淡いものであったが、今となって、もう少し繁々と往来して、海野君の良さに接して居るべきであったという、大きな悔に悩んでいる。

完

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