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TORENDIA

撫でられた象

本文約4,300字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

西洋文学の急激な流入により、日本文学がフォルムに対する自覚を失い、断片的な理解に留まっている現状を論じる。著者は、作品が全一的な存在として独自の姿を持つためには、作者の意志を超えた確かな構成理念が必要であると主張する。文学を衣食のための実用品ではなく、人生の余剰価値を生む創造物と捉え、先人の作品を通じて真の文学観を確立し、自覚的な創作へと向かうことの必要性を説く評論である。

中原中也

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🎧 撫でられた象 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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様々な議論が沸騰してゐるけれど、それらの何れもはや議論といふよりは彷徨、それも随分無責任な、身入りのしないことにしか過ぎない。かくて人々は、それを時代のせゐに帰したりするのだが、それとて十分の根拠を有することでもない。

現代は不安な時代であらうか? それはさうでもあらう。然るに文学者達が斯くも自信を失つてゐるのは強ちそのせゐであらうか?――然し、事象は歴史を織りなして行くであらうが、歴史が事象を織りなしてゆくとは冠履転倒のことであるから、時代なぞといふ方から文学を考へるよりも、文学者自体の実状を反省してみることは却て賢明なことであらう。

扨、さういふことにすれば、現今文学者が彷徨してゐるといふことも、私には案外簡単なことに思へて来る。

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