TRENDIA CLASSIC

沓掛時次郎 三幕十場

長谷川伸

1 / 19

〔序幕〕  第一場 博徒六ツ田の三蔵の家

第二場 三蔵の家の前

第三場 元の三蔵の家

第四場 再び家の外

第五場 三たび三蔵の家

〔二幕目〕 中仙道熊谷宿裏通り

〔大詰〕  第一場 同じ宿の安泊り

第二場 宿外れの喧嘩場

第三場 元の安泊り

第四場 宿外れの路傍

沓掛の時次郎  磯目の鎌吉

六ツ田の三蔵  酔える博労

女房おきぬ   亭主安兵衛

倅 太郎吉   女房おろく

大野木の百助  八丁徳

苫屋の半太郎

乱入する博徒たち(三蔵方へ)・通行の人々(熊谷宿の)・八丁徳の子分たち・聖権の子分たち・その他。

[#改ページ]

〔序幕〕

第一場 博徒六ツ田の三蔵の家

三蔵はもう三、四年もすれば親分から跡目に直らせて貰える筈だった男だ。しかし頼む力の親分は召捕りになり、どうで遠島は免かれまいと立つ噂に、身内は残らず散って、残るは三蔵ただ一人きりである。それでも三蔵は、親分に義理を立て、子分は皆無、身一つで、中ノ川一家を名乗っている。当然の結果、反対派の親分側から、圧迫が加えられ、今夜がその最後であった。

秋の夜、行燈の灯の下で三蔵と女房おきぬとが、他人の注意をひくまいと物音に気を配りつつ、荷づくりを急いでやっている。片脇に一子太郎吉が寝ている。

長谷川伸の他の作品