沓掛時次郎 三幕十場
本文約20,600字 ・ 読了時間 約42分
あらすじ(AIが作成しました)
博徒六ツ田の三蔵は、親分が召捕られた影響で反対派から圧迫を受ける。身重の女房おきぬと子太郎吉を連れて逃亡する道中、旅人の沓掛時次郎と出会う。時次郎はおきぬの身を案じ、親子を献身的に支え続ける。その後、おきぬは新たな命と共にこの世を去るが、時次郎は残された太郎吉を連れ、博徒の渡世から足を洗い、人として生きる道を歩み始める。過酷な運命に翻弄されながらも、時次郎と親子が結んだ絆と、旅の果てにある再生を描く物語である。
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〔序幕〕 第一場 博徒六ツ田の三蔵の家
第二場 三蔵の家の前
第三場 元の三蔵の家
第四場 再び家の外
第五場 三たび三蔵の家
〔二幕目〕 中仙道熊谷宿裏通り
〔大詰〕 第一場 同じ宿の安泊り
第二場 宿外れの喧嘩場
第三場 元の安泊り
第四場 宿外れの路傍
沓掛の時次郎 磯目の鎌吉
六ツ田の三蔵 酔える博労
女房おきぬ 亭主安兵衛
倅 太郎吉 女房おろく
大野木の百助 八丁徳
苫屋の半太郎
乱入する博徒たち(三蔵方へ)・通行の人々(熊谷宿の)・八丁徳の子分たち・聖権の子分たち・その他。
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〔序幕〕
第一場 博徒六ツ田の三蔵の家
三蔵はもう三、四年もすれば親分から跡目に直らせて貰える筈だった男だ。しかし頼む力の親分は召捕りになり、どうで遠島は免かれまいと立つ噂に、身内は残らず散って、残るは三蔵ただ一人きりである。それでも三蔵は、親分に義理を立て、子分は皆無、身一つで、中ノ川一家を名乗っている。当然の結果、反対派の親分側から、圧迫が加えられ、今夜がその最後であった。
秋の夜、行燈の灯の下で三蔵と女房おきぬとが、他人の注意をひくまいと物音に気を配りつつ、荷づくりを急いでやっている。片脇に一子太郎吉が寝ている。