TRENDIA CLASSIC

中山七里 二幕五場

長谷川伸

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〔序幕〕 第一場 深川材木堀

第二場 政吉の家

第三場 元の材木堀

〔大詰〕 第一場 飛騨高山の街

第二場 中山七里(引返)

川並政吉    女房お松  酒屋の作蔵

おさん     川並金造  同百松

流浪者徳之助  同三次郎  同高太郎

同おなか    同藤助   同老番頭

亀久橋の文太  木挽治平  猟師

餌差屋の小僧・恐怖した通行人・空家探しの夫婦・酒屋の小僧・深川の人々・高山の人々・そのほか。

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〔序幕〕

第一場 深川材木堀

深川木場の材木堀。秋の日が西に傾きかけた頃。

堀の中には角材が浮いている。堀際には立木があり、一方には木挽の仕事座、一方には水揚げした角材がある。

木挽の治平が角材を枠にかけ、挽き目に時々栓を打ち込んでは、膝を立て腰をあげさげして、鋸をズイズイと入れている。

川並の三次郎(五十歳近い)が、角材の下に転木――二本か三本――を入れ、その歪みを正しながら「ようッこのウ」と音頭をとっている。三次郎の使用した鳶口の付いた竹棹――それは川並専用の道具――は、立木にもたせ掛けてある。

川並の藤助、金造その他は鳶口棹を角材に打ち込み、三次郎の取る音頭の、ようッこのウを受けて「よう」と曳いている。

三次郎 ようッこのウ! 藤助等 よう。 三次郎 (手を挙げ)待った待った、ここでいいとしよう。さあテコをかってくれ、コロを抜いてしまうから。 金造  おい来た、そらよ。(鳶口棹を木製のテコに持ちかえ、角材の下に入れ)ううむ。 藤助  待て待て俺が一丁加わるから。(テコを入れ)それ来た、よいやさの、ううむ。 金造等 ううむ。 三次郎 もうちッともうちッと。よし来た。(コロを一本抜き取り)ご苦労ご苦労。さあもう一丁。(次のコロを抜きにかかる)

名ある旗亭の女中おさん(二十二、三歳)通りがかりの振りをして川並の仕事を見ている。

木挽治平、のっそり挽き目に栓を打込みかけ、おさんに心づいて見ている。

おさん、川並たちの中に求める男が見えないので、あちこちと見廻す。

治平はニヤニヤしながら仕事にかかる。

おさんは思わず前に出て、抜き取られて放り出してある一本のコロに躓く。

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