青い眼
本文約2,800字 ・ 読了時間 約6分
あらすじ(AIが作成しました)
南フランスの修道院で寄宿生活を送る少女たちが、突如現れた謎の「青い眼」に魅了される様子を綴る。厳格な日常を送る少女たちの前に、角笛の音と共に現れたその青い眼は、生徒たちの間で噂を呼び、やがて彼女たちの恋心や好奇心を掻き立てる。日常が非日常へと変貌する過程や、未知の存在に対する少女特有の秘やかな興奮と動揺を描き、外界から隔絶された空間における多感な思春期の心の機微を浮き彫りにする。
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私は老婦人たちが彼女らの少女だつた時分のことを話すのを聞くのが好きだ。
「私が十二の時でした、私は南佛蘭西の或る修道院に寄宿してをりました。(と記憶のいい老婦人の一人が私に物語るのであつた。)私たちは、その修道院に、世間から全く離れて、暮らしてをりました。私たちに會ひに來られたのは兩親きりで、それも一月に一遍宛といふことになつてゐました。
「私たちは休暇中も、その廣い庭園と牧場と葡萄畑にとりかこまれた修道院の中で過したのでした……
「私はその幽居には八つの時から入つてゐましたが、やつと十九になつた時、結婚をするため、はじめて其處を出たやうなわけでした。私はいまだにその時のことを覺えてゐます。宇宙の上に開いてゐるその大きな門の閾を私が跨いだ刹那、人生の光景や、自分の呼吸してゐる何だかとても新しいやうな氣のする空氣や、いままでになかつたほど輝かしく見える太陽や、それから自由が、遂に、私の咽喉をしめつけたのでした。私は息がつまりさうになつて、もしその時腕を組んでゐた父が私を支へて其處にあつたベンチへ連れて行つてくれなかつたら、私はそのままぼうと氣を失つて倒れてしまつたでせう。私はしばらくそのベンチに坐つてゐるうち、やつと正氣を取戻したのでした。
「さて、その十二の時のことですが、私はいたつて惡戲好きな、無邪氣な少女でした。そして私の仲間もみんな私のやうでした。
「授業と遊戲と禮拜とが私たちの時間を分け合つてゐました。
「ところが、コケットリイの魔が私のゐた級のうちに侵入してきたのは、丁度その時分でありました。そして私は、それがどんな策略を用ひて、私たち少女がやがて若い娘になるのだといふことを、私たちに知らせたかを忘れたことはありません。