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TORENDIA

海の小品

本文約390字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

渚の砂地の不思議な感触、荷物を背負った宿かりと大きなリュックを背負う友の対比、夜の海辺に響く犬の遠吠えという、三つの短い情景を集めた原民喜の掌篇「海の小品」。

原民喜

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🎧 海の小品 / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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蹠

あたたかい渚に、蹠に触れてゴムのやうな感じのする砂地がある。踏んでゐるとまことに奇妙で、何だか海の蹠のやうだ。

宿かり

じつと砂地を視てゐると、そこにもこゝにも水のあるところ、生きものはゐるのだつた。立ちどまつて、友は、匐つてゐる小さな宿かりを足の指でいぢりながら、

「見給へ、みんな荷物を背負はされてるぢやないか」と珍しげに呟く。その友にしたところで、昨夕、大きなリツクを背負ひながら私のところへ立寄つたのだつた。

渚

歩いてゐると、歩いてゐることが不思議におもへてくる時刻である。重たく澱んだ空気のとばりの中へ足が進んで行き、いつのまにか海岸に来てゐる。赤く濁つた満月が低く空にかゝつてゐて、暗い波は渚まで打寄せてゐる。ふと、もの狂ほしげな犬の啼声がする。波に追はれて渚を走り廻つてゐる犬の声なのだ。ふと、怕くなつて渚を後にひきかへして行くと、薄闇の道路に、犬の声は、いつまでもきこえてくる。

完

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