TRENDIA CLASSIC

ゴンドラの唄

吉井勇

1 / 1

唄(若い澄んだ少年の聲。) いのち短し、戀せよ、少女、

朱き唇、褪せぬ間に、

熱き血液の冷えぬ間に、

明日の月日のないものを。

いのち短し、戀せよ、少女、

いざ手を取りて彼の舟に、

いざ燃ゆる頬を君が頬に、

ここには誰も來ぬものを。

いのち短し、戀せよ、少女、

波にたゞよひ波の樣に、

君が柔手を我が肩に、

ここには人目ないものを。

いのち短し、戀せよ、少女、

黒髮の色褪せぬ間に、

心のほのほ消えぬ間に、

今日はふたゝび來ぬものを。

(吉井勇氏作『ゴンドラの唄』――この一節をイタリアの俗謠の調に依つてうたふ。)

吉井勇の他の作品