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TORENDIA

鵠が音

本文約2,900字 ・ 読了時間 約6分

あらすじ(AIが作成しました)

昭和十九年七月、春洋が所属する胆二十七玉井隊は、硫黄の発掘と古加乙涅の栽培が行われていた島へ上陸する。食糧や水も不足する過酷で単調な環境の中、春洋は内地へ宛てた手紙と歌を通じて、死と隣り合わせの戦場における兵士たちの不安、戦況への焦燥、そして歌人としての葛藤を綴る。本書は、完成を見ることのなかったそれらの詩歌と通信を収め、極限の状況下で詩作と任務の狭間に生きた一人の歌人の内面を描く。

釋迢空

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硫黄を発掘する人々の外に、古加乙涅を栽培する数家族が、棲んでゐた。其人々を内地に移した。さうしてそこに、後から/\送つた兵隊で、島は埋まれてしまつたと言ふあり様であつた。春洋と、春洋の所属する「膽二十七玉井隊」の一大隊が上陸したのは、昭和十九年の七月であつた。食糧なども、前からゐる隊のやうに、すら/\と渡らなかつたらしい。――これは後に聞いた話である。

みんな一度は、ぱらちぶすに罹り、島の硫黄泉で、腹を損じた。

そんな間に、手紙やはがきを、よこした。極端に変化のない生活の間に、書き知らせる事件を見つけることすら、なか/\容易でなかつたことゝ思ふ。

其でも、長短二十通に及ぶ島のおとづれを、送つて来てゐる。

此は、唯その一部、島に渡つて四度目の手紙と、その外の数通のうちから、抜き書きしたものである。

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