秋の瞳
本文約7,500字 ・ 読了時間 約15分
あらすじ(AIが作成しました)
孤独を感じる詩人が、読者に友を求める序文から始まる詩集。秋の空や山、風物を通じて、哀しみや美しさ、自身の中に芽生える感情を繊細な言葉で綴る。自然の移ろいの中で、日々の営みや内面的な問いを見つめ、静寂の中にひそむ普遍的な哀しみの力や喜びを鋭く描き出している。
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序
私は、友が無くては、耐へられぬのです。しかし、私には、ありません。この貧しい詩を、これを、読んでくださる方の胸へ捧げます。そして、私を、あなたの友にしてください。
[#改ページ]
息を 殺せ
息を ころせ
いきを ころせ
あかんぼが 空を みる
ああ 空を みる
白い枝
白い 枝
ほそく 痛い 枝
わたしのこころに
白い えだ
哀しみの 火矢
はつあきの よるを つらぬく
かなしみの 火矢こそするどく
わづかに 銀色にひらめいてつんざいてゆく
それにいくらのせようと あせつたとて
この わたしのおもたいこころだもの
ああ どうして
そんな うれしいことが できるだらうか
朗らかな 日
いづくにか
ものの
落つる ごとし
音も なく
しきりにも おつらし
フヱアリの 国
夕ぐれ
夏のしげみを ゆくひとこそ
しづかなる しげみの
はるかなる奥に フヱアリの 国をかんずる
おほぞらの こころ
わたしよ わたしよ
白鳥となり
らんらんと 透きとほつて
おほぞらを かけり
おほぞらの うるわしいこころに ながれよう
植木屋
あかるい 日だ
窓のそとをみよ たかいところで
植木屋が ひねもすはたらく
あつい 日だ
用もないのに
わたしのこころで
朝から 刈りつづけてゐるのは いつたいたれだ
ふるさとの 山
ふるさとの山のなかに うづくまつたとき
さやかにも 私の悔いは もえました
あまりにうつくしい それの ほのほに
しばし わたしは
こしかたの あやまちを 讃むるようなきもちになつた
しづかな 画家
だれでも みてゐるな、
わたしは ひとりぼつちで描くのだ、
これは ひろい空 しづかな空、
わたしのハイ・ロマンスを この空へ 描いてやらう
うつくしいもの
わたしみづからのなかでもいい
わたしの外の せかいでも いい
どこにか 「ほんとうに 美しいもの」は ないのか
それが 敵であつても かまわない
及びがたくても よい
ただ 在るといふことが 分りさへすれば、
ああ ひさしくも これを追ふにつかれたこころ
一群の ぶよ
いち群のぶよが 舞ふ 秋の落日
(ああ わたしも いけないんだ
他人も いけないんだ)
まやまやまやと ぶよが くるめく
(吐息ばかりして くらすわたしなら
死んぢまつたほうが いいのかしら)