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TORENDIA

劉海石

本文約2,400字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

劉海石は浜州に住む義兄弟の劉滄客の家を訪れる。一家で相次ぐ不幸に見舞われていた滄客に対し、海石は家相と方位を見る術で、一族を害していた妾の正体が狐の類であることを暴く。術を用いて正体を現させ、一族の背に生えた毒の毛を抜いて救済する。海石は師匠である山石道人のもとで修業を積んだと語り、別れ際に滄客は海石が仙人であると確信する。

田中貢太郎

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🎧 劉海石 / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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劉海石は蒲台の人であった。十四歳の時にその地方に戦乱が起ったので、両親に従いて浜州に逃げて往って、其処に住んでいたが、その浜州に劉滄客という者があって、同じ教師について学問をした関係から仲が好くなって、とうとう義兄弟の約束をした。

間もなく海石の両親が亡くなり、海石はその遺骨を奉じて蒲台の故郷へ帰ったので、二人の間の音問は絶えてしまった。

滄客の家は頗る裕であった。年は四十になったところで二人ある児のうち、長男の吉というのは、十七歳で邑の名士となり、次男もまた慧であった。滄客はそのとき、邑の倪という家の女を妾にしてひどく愛していたが、半年ばかりして長男が脳の痛む病気になって歿くなった。夫妻はひどくそれを歎いたが、間もなくその妻君も病気になって歿くなった。そして三四箇月したところで、長男のであった女も病気になってこれまた歿くなってしまった。そのうえに婢や僕もつぎつぎに歿くなったので、滄客は悲しみにたえられなかった。

ある日、つくねんと坐って悲しんでいると、不意に門番がきて、海石が来たといって知らした。滄客は喜んで急いで戸口へ往って迎えてきた。二人はそこで寒いあついの挨拶をしようとした。ところで海石は驚いて言った。

「君は一家族が全滅するが、知らないかね」

滄客はびっくりしたが、海石がどうしてそんなことを言うのかその理由が解らなかった。海石は言った。

「久しく逢わなかったが、君はこの頃、どうもしあわせが悪いようだね」

滄客は泣きながら家の不幸を話した。海石もすすり泣きをしたが、やがて笑って言った。

「しかし、もう僕が来たから大丈夫だ、安心したまえ」

滄客は言った。

「久しく逢わないうちに、医者の修業をしたかね」

海石は言った。

「医者のことは知らない、家相と方位を見ることを、すこし習ったばかりだよ」

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